八方美人(はっぽうびじん)
だれからも悪く思われないように、要領よく人とつきあってゆく人。
一見、耳ざわりのいいこの言葉。
良いように言うと人当たりの良い無害な人間だが,
悪く言ってしまうと人に流されてしまうカメレオン人間。
今はTwitterで発信活動をして自分の意見をちゃんと言えるようになったけど,昔は人から良く見られようと自分をないがしろにしてしまっていた。
それこそ,大勢から好かれる人間こそ価値のある人間という思い込みに支配されてしまい,周りに流されてしまうことは多々あった。
確かに,世のなかを上手く渡り歩く上では八方美人になることは必要なのかもしれない。
嫌な上司や同僚にも良い顔をして仕事を進めていかなければいけない状況もあるけど,それは本人の八方美人の使い方次第で吉に転ぶか凶に転ぶかが変わってくる。
私は八方美人であり続けてしまったために,人間関係に亀裂を入れてしまったことがある。
今回は反省文も兼ねてそのエピソードを綴っていこうと思う。
八方美人でいることが破滅フラグを回収してしまった件
登場人物
- 杉崎:本作の主人公,人の目を気にしがちな性格
- T:留学先で知り合った可愛い後輩。童顔でよく高校生と間違えられる。日本人。
- A:自分の彼氏。俺様でめちゃくちゃリードしてくれる。日本人。
- K:留学先の男友達。日本人。
出会い

3年前,私は彼氏Nを残してアメリカに留学した.
彼氏との物理的距離は10000kmも離れ少し寂しい気もあったが,自分の英語力を現地で試せるという嬉しさが勝っていた。
人見知りは未だに治っていなかったが,現地の人やクラスメイトに温かく迎え入れられたお陰でアメリカの環境にすんなり馴染むことができた。
その中で私は後輩Tとは知り合う。
笑顔が非常に魅力的で自由奔放な性格。
見た目は童顔で身長も165cm足らずの小動物のようなルックス。
そんなかわいらしい見た目と人懐っこい性格が相まって,男女を問わず友達が多くマスコットキャラクターのような扱いを受けていた。
Tとはよくアニメの話や下世話な話でよく盛り上がり,授業終わりにもよく寮で1時間くらい語り合うくらいの間柄だった。
正直な話,留学でできた友人の中でトップレベルに話が合う人間だったので自然にTのことを友達と認識していた。
普段自分から遊びに誘わない性格であったが,Tのことは非常に信頼していたため

楽しかった!日本に帰ってもK君と3人で遊ぼう!!!
と連絡を入れた。
帰国した1週間後に日本で遊ぶことになったが,あの悲劇が起こるとは思っていなかった。
予兆

2016年9月上旬
アメリカで交わした約束を果たすべく東京で遊ぶことになった。
TとKは関東に住んでおり,関西から500㎞も離れていたため頻繁に遊ぶ機会はなかなか作れないため,一日ぶっ通しで遊ぶ計画をたてた。
渋谷から原宿まで歩いて古着巡りをしたり,
筋肉が悲鳴をあげている時にお酒を飲んだり,
その直後にカラオケでオールを目論んだり…。
とにかく学生の特権をフルに活用したのだ。
カラオケでオールをしようとしたが,
その願いは儚くたったの3時間で追い出されてしまった。
丑三つ時の高円寺に放り出された3人。
時間をどう潰そうか話合っているところ,
突如Kに一本の電話が入った。

あっ!ゴメン!俺のこと泊めてくれるみたいから離脱する!2人で頑張って!!!
ぽつんと取り残されたのは私とどう見ても高校生にしか見えない合法ショタT。
流石に警察に未成年淫行を疑われるのは不味いと思い,高円寺駅の高架下で相談した結果近場のネットカフェで一夜を過ごすことになった。
さて,ここでアイスブレイクも兼ねて問題です。
20歳近くの男女が狭い空間で長時間を過ごすとどうなるだろうか?
①アニメ・漫画について長時間ディスカッション
②寝る(文字通り)
③夜のパーソナルトレーニング(意味深)
ある程度,人生経験を重ねた賢明な読者さんであれば当然③と答えるだろう.
しかし,世間と考えがズレまくっていた当時の自分は③が起きてしまうことを完全に見落としていた。
何故かって?
「どうせ,友達同士だしそんな事にはならない… !大丈夫でしょ!」と高を括っていた。
しかし,それが無知ゆえの間違いであったことに気づくことになる。
「自分だけは○○しない!」と高をくくってしまうが,そんな状況にいつの間にか陥ってしまう。
敗北

さてさて.これがクライマックス.いわゆる起承転結の「転」にあたる部分だ.
押しに弱い人間が転げ落ちる姿をよく観察して,今後の恋愛に役立ててほしい.
まずネカフェに入ってから2時間は,パソコンを触っているTの膝でスヤスヤと寝ていた。
今思い返すと完全に危機感がない!!
おまけに3密をどうどうと破っているではないか!!
小池都知事に「密です!」と叱られても可笑しくないくらい,物理的な距離も心理的な距離も近くなっていた。
そんな中,
「ん~~~、杉崎さんいい匂い…」
と言われ,イチャイチャモードに切り替わった。
童顔のTに甘えられ母性本能が思わずくすぐられてしまう。
そんな心境のなか子猫が膝に乗っかってくるかのようにもたれかかってくる。
そして母性本能がMAXになり雰囲気にのまれそうになっているところ,Tがとんでもないお願いをしてきた。
「ねぇ、キスして…💓」
「自分には彼氏がいる」という理性のトリガーが脳を支配していた.
ただ,こんなに好いてくれるイケメンな子世の中探してもいない気がする.
ここで丁重にお断りするのもなんだか気が引けた.
「ごめん。私,彼氏いるから期待には応えられない。」
折角できた友達の頼みを断るのは非常に心苦しかった。
そんなときあの可愛いらしい顔をしたTがむくれてしまった。
勇気を振り絞って頼み事をしたのに断られたら落ち込むのはわかる。
神様,Tに可愛い外見を恵んだことを100年恨みます.ガッデム.
普通ならここでロマンスストーリーは終了するべきはずが,当時の私はTに嫌われたくないという思いに支配され,期待に応えてあげられない自分に不甲斐なさも感じていた.
そこで「キスだけならいいだろう.アメリカではキスなんて友達同士でもやっている」と正当化をし,とうとう禁断の果実に手を伸ばしてしまったのだ。
こうして高円寺での男女の駆け引き,及び悪魔と天使のぶつかり合いは夜明けと共に幕を閉じたのであった.
人に嫌われたくないがために倫理に反した行動をとってしまったことがある。
露呈

東京からの新幹線に乗った時一通のLINEがTから送られてきた。
「えーーーー!杉崎さん東京から帰っちゃうの?
東京駅まで見送りにいけば良かった….」
Tはどこまでも情に厚い友達だった。
そしてここまで別れを惜しんでくれる友人ができたことが嬉しいあまり,新幹線の中で大粒の涙を流す。
涙が視界がぼやける中,
「気持ちだけでも嬉しいよ!2日間めちゃくちゃ楽しかった!距離は離れるけど電話ならいつでもできるでしょ!」
と寂しさに震える指で気持ちを綴った。
そうして東京放蕩旅は幕を閉じていったのだ。
そして三日後…
神戸のレストランで彼氏Aと舌鼓を打っていた。
久々の日本のご飯を食べては祖国のクォリティの高さに涙し,「お米最高!!!」と言いながら白米を頬張っていった。
そんな幸せの最高潮にいたが,とあることがきっかけでどん底に突き落とされる。
トイレから帰ってくると,ローストビーフのように顔を真っ赤にさせたAが視界に入った。
A「なぁ…。どういうことだ…???高円寺でネカフェで…何した??杉崎、まさかそれ以上のこともやったんだろ??」
杉崎「私がやったのはキスだけ!!しかもTは友達だしセクシュアルなことは何もやっていない!!!」
A「やってないとは言い切れないだろ!!!男女が狭い空間でやることなんて一つしかない!!!」
杉崎「やむを得ない事情でネカフェにいただけよ!!!それでもボクはやってない!!!!」
血気盛んな二十歳の男女が激しい口論を繰り広げる。
神戸の閑静な風景が台無しになってしまうくらいの怒鳴り合いだったという。
二人は感情の荒波に飲まれてしまうところだが、Aの一言で波は静まっていく。
A「キスも立派な浮気だ。お前にそのつもりはなくても,周りがそうと思えば浮気は成立する。お前はTを友人だと言い張っているが,向こうは少なくともお前のことを友人とは思っていない。そんな考えがなかったからお前はそんなことになってしまった。もう少し周りを見てから行動をしろ。
そして,雰囲気に流されるのは絶対にやめろ。」

うぅ…反省します…!!
彼の鉄槌によりようやく自分の事の重大さに気が付いてしまった。
アメリカの常識や自分の中で,キスは友人同士のスキンシップと解釈しても傍から見たらただの不貞行為であること。
自分だけが浮気をしないと高をくくるってしまうほど,いつの間にかそんな状況下に置かれてしまうこと。
自分の愚かな判断が時にはこういった嵐を引き起こしてしまう事を20歳で学習した。
そして、裁判官Aにより判決下される。
「2か月、男友達と遊ぶことを禁ずる」の情状酌量。
軽はずみな行動が誰かを犠牲にする可能性があることを忘れずに、自分の行動に責任を持てる大人になろうと思うのであった。
まとめ
どんな状況はどうあれ,浮気は付き合っている人への最大の裏切り行為です。
浮気をしている人・したことのある人はこの記事とSchool Daysを見て自分の愚かさを認めてくださいね★
したことのない方もこの記事を今後の戒めにして下さったら嬉しいです。
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